展覧会のような葬儀

100歳近くになった祖母の葬儀です。祖母の趣味は絵画でした。若いころから油絵を嗜み、家にもたくさんの作品が飾ってありました。近所の葬祭場の入り口、ロビーの周りにその絵画を持ち込み、さながら展覧会のようでした。参列者はその絵を眺め、「これは〇〇を描いた絵なのかしら」と思い出を遡っています。個人に所縁のある所有物ですが、景色を描いたものなどを眺めると(おそらく写真などもですが)、自分の思い出も掘り起こせているようでした。葬儀場でありながら、個人を偲びつつ、思い出を語る場所となり、葬儀でありながら同窓会のようにもなっていました。90を越える年齢という事もあり、死もさほど遠くない話と考えられるためか、悲しみよりも穏やかな空気が流れています。通常は殺風景な葬儀場の空間に、和みが生まれ、展示して良かったかな、と思えるものでした。
葬儀という儀式は悲しみに包まれたものではなく、振り返りの場と考えるべきなのかもしれません。