祖母が亡くなった時に、私は初めて田舎の村のお葬式というものを体験しましたが、斎場や葬儀会館で行うお葬式とのあまりの違いに驚きました。
お葬式は村民会館のようなところで行われ、準備をしてくれるのは村の女性たちです。葬儀の準備だけではなく、食事の準備までしてくれるので、遺族は特にすることはありません。
そして、葬儀が終わると、まず、遺族が集まって村の皆さんが準備をしてくれた食事をいただきます。その後は立場が変わり、村の皆さんが、手作りの料理を食べながら、お酒を飲み始めます。そして、遺族は給仕をしたりお酌をしたりして廻るのです。酒代はもちろん、お葬式を出した家がもち、葬儀を無事終えることができた感謝の気持ちを示すということでした。
村の女性たちは食事を終えると早々に引き揚げましたが、後に残った男性陣は延々と飲み続け、遺族はひたすらお酌をするだけ。この宴会は、最後の1人が自主的に帰るまで続き、本当にぐったりしました。平成の時代に入っても、このようなお葬式をする地域があることに驚き、祖母が他界した悲しみはどこかにふっとんでしまいました。